保育料を安くできるかのように装い、女性にわいせつな行為をしようとしたとして、栃木県小山市の保育課職員の男性が10月7日、不同意わいせつ未遂の疑いで逮捕された。
この事件をめぐり、小山市が弁護士ドットコムニュースの取材に応じ、事件当日とされる9月3日夕方、男性職員から「トラブルになった」と報告を受けていたことを明らかにした。同じ日には被害女性からも市に連絡があったという。
男性職員は実際に保育料に関する業務を担当していたが、市は「職員の裁量や権限で保育料を下げられるものではない」と説明している。
また、男性職員は事件翌日の9月4日から「体調がすぐれない」として有給休暇を取り続けており、逮捕後は市も本人と連絡が取れていないという。
●「私にも見返りがないとね」「性接待」
報道によると、逮捕された男性職員は9月3日、小山市に住む女性の自宅を訪れ、自分の権限で保育料を減免できるかのように信じ込ませたうえ、「私にも見返りがないとね」「性接待」などと言って、わいせつな行為をしようとした疑いが持たれている。
男性職員は事前に、保育料の変更について「面接したい」などと女性に連絡し、自宅を訪れたとされる。
警察の調べに対し、男性は容疑を否認しているという。
●事件当日、本人から市に「トラブルになった」
男性職員はどのような立場で働き、市は事件をどこまで把握していたのか。
弁護士ドットコムニュースは10月8日、小山市の職員課に取材した。
担当者によると、9月3日の夕方、男性職員本人から市に「トラブルになった」との報告があったという。この日、男性職員は休暇を取っていた。
担当者は「非違事実(事件の中身)については、今回の報道をもって初めて知った」と説明する。
一方、同じ日の夕方には、被害女性からも市に連絡があった。
別の職員が9月上旬、女性と面会し、市として把握している状況を説明。そのうえで、捜査機関に全面的に協力するとともに、可能な限り女性を支援する考えを伝えたという。
男性職員は4日から「体調がすぐれない」として有給休暇を取り続けており、市役所には出勤していないという。逮捕後も、担当者は「本人と接触が取れていない」と話した。
●保育料を担当していたが、市「職員の裁量では下げられない」
市によると、男性職員は2018年に採用され、2024年から保育課に所属していた。
保育施設への給付事業や、保育園などの副食費(おかず・おやつ代)に関する業務に加え、保育料に関する業務も担当していたという。
ただし、担当者は「保育料は法令や条例上、利用者の所得状況などに応じて決まるとされており、職員の裁量や権限で下げられるものではない」と強調する。
小山市のホームページによると、保育料は4月から8月までは前年度、9月から翌年3月までは当年度の市民税所得割額に基づいて決定される。
事件があった9月は、ちょうど保育料が切り替わる時期にあたっていた。
そもそも、男性職員の担当業務に保護者の自宅を訪問するような仕事はあったのか。
担当者は保育課にも確認したうえで「担当していた業務において、一般の方を訪問するという業務は通常ないと考えられる」と答えた。
●女性の住所や保育料、どう把握した?市「わからない」
男性職員と被害女性には面識がなかったとされる。では、男性職員は女性の氏名や住所、保育料に関する情報をどのように入手したのか。
担当者は「我々にもわからない」と回答。市独自の調査について尋ねると、「捜査に全面的に協力する」と繰り返した。
また、男性職員に関して、過去に保護者から同様の相談や苦情が寄せられていたかについては、そうした事実は把握していないという。
市は取材に対し、浅野正富市長のコメントを次のように伝えた。
「本市職員が逮捕されたことは極めて遺憾であり、心よりお詫び申し上げます。詳細については警察の捜査中であり、市としては捜査に全面的に協力する所存です。今後、事実関係を確認した上で、厳正に対処してまいります」