「ヤマトリノ」の名前で活動するインフルエンサーの女性が10月7日、コカインとケタミンを使用した疑いで警視庁に再逮捕されたと報じられました。前日の6日には、ケタミンを所持した罪で起訴されています。
報道によると、女性は9月15日、東京都港区六本木の自宅マンションでコカイン約0.4グラムを所持した疑いで、交際相手の男性とともに現行犯逮捕されていました。自宅からは白い粉末入りの袋21袋や、吸引に使ったとみられるストローも押収されています。
ところが、東京地検が10月6日に起訴したのは、逮捕容疑のコカインではなく、ケタミン約0.024グラムの所持でした。東京地検は、現時点での証拠を踏まえて判断したと説明しているそうです。
翌7日の再逮捕は、逮捕前後にコカインとケタミンを使用した疑いです。押収された粉末の一部から両方の成分が検出され、尿検査でも陽性反応が出たといいます。女性は認否を保留する一方、逮捕時にコカインの所持を否認していた交際相手の男性は、再逮捕容疑を認めていると報じられています。
ネットでは、「所持が営利目的と認定されたら、実刑相当事案ですね」「この人に限らず、実刑にはならないんですよ」といった投稿が寄せられています。
実刑になる可能性はあるのでしょうか。簡単に解説します。
●実刑か執行猶予かは、営利目的が認められるかどうかで変わってくる
ケタミンは麻酔薬で、2007年(平成19年)1月から麻薬として規制されています。
所持も使用も7年以下の拘禁刑で、コカインと同じ重さです(麻薬及び向精神薬取締法66条1項、66条の2第1項)。
起訴の対象になった0.024グラムは、ごくわずかな量です。
前科がなく、自分で使うための所持や使用であれば、実務では執行猶予がつくことが多くなっています。
令和7年版犯罪白書によると、令和6年(2024年)に地方裁判所で麻薬取締法違反の有期刑を受けた771人のうち、551人は執行を猶予されています。
このように、本件では基本的には執行猶予が見込まれそうですが、営利目的が認められると話が変わってきます。
営利目的所持の場合、法定刑は1年以上10年以下の拘禁刑と重くなり、実刑になる可能性が出てきます(同法66条2項)。
情状により、罰金も併科されます。
●営利目的は、何をもとに判断されるのでしょうか
まず、持っていた量は重要な要素となります。
自分で使うには多すぎる量であれば、売るために持っていたと評価される可能性があります。
ただ、量だけで決まるわけではありません。
量を計測するための電子はかりやチャック付きの袋などがあったり、客とのやりとりがメールやLINEに残っていないか。
こういった事情から、繰り返し仕入れて売っていたと認められるかどうかが捜査されると思われます。
今回の事件では、電子はかりや多額の現金が押収されたとは報じられていません。
もっとも、白い粉末入りの袋が21袋見つかっており、袋の中身などによっては小分けの状況が営利目的を推認させる可能性はあります。
●裁判所が勝手に「本当は営利目的だった」と認定することはできない
ただし、今回起訴されたのは、あくまでも営利目的のない所持の罪です。
裁判所は、基本的には検察官が起訴した事実についての判断しか出来ません。
起訴されていない以上、裁判所が「営利目的」の所持を勝手に認定して、重い刑を適用することはできません。
営利目的で重く処罰するには、検察官が起訴状の内容を変える必要があります。
今後、仮に営利目的についての捜査が進むのであれば、21袋の中身やほかの事情が問題となるでしょう。
小倉匡洋(弁護士ドットコムニュース編集部記者・弁護士)