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職務質問「犯罪抑止に有効」が6割も「態度が高圧的」「実質強制」実施方法に疑問の声<アンケート>
画像はイメージです(mits / PIXTA)

職務質問「犯罪抑止に有効」が6割も「態度が高圧的」「実質強制」実施方法に疑問の声<アンケート>

外出している際などに、何気ないタイミングで警察官から「職務質問」を受けることがあります。その実態について、弁護士ドットコムの一般会員を対象にアンケートを実施しました。(実施期間:7月3日〜7月16日、有効回答数496人)

アンケートでは、回答者の56.5%にあたる280人が「職務質問を受けたことがある」と回答しました。中には100回以上受けたという人も。

職務質問に対する考え方については、「犯罪の未然防止、取締りに有効」が61.3%で最多でした。一方で経験者からは厳しい声も並びました。

いつ、どこで、どのようなやり取りがあったのでしょうか。アンケートの詳細を紹介します。

●「職務質問を受けた経験がある」が全回答者の56.5%

アンケートの回答者は、男性が69%、女性が30%、その他が1%でした。

年代別では、50代が35.3%で最多。多かった順に、40代は27.2%、60代は16.9%、30代は13.5%、20代は2.2%、10代は0.2%、70代以上は4.6%でした。

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回答者496人のうち、「職務質問を受けた経験がある」人は56.5%(280人)でした。

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●職務質問に対する印象、「悪い」が「良い」を上回る

職務質問に対する印象を尋ねたところ、「良い」が6.9%、「やや良い」が10.5%にとどまったのに対し、「悪い」が26.8%、「やや悪い」が19.8%と、「良い」「やや良い」を上回りました。ただし、「どちらともいえない」との回答が31.9%で最多でした。

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職務質問に対する考え方については、「犯罪の未然防止、取締りに有効」が61.3%で最多で、「警察官が職務質問している場面を見かけると安心感を覚える」が18.3%となりました。一方で、「任意にもかかわらず結果的に応じることを強いられる」が53.2%、「質問相手を人種や見た目で選んでいて差別的」が31.0%にのぼりました。

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●職質受ける時間帯は「18~24時」、場所は「住宅街」が最多

職務質問を受けた経験がある280人に、受けた回数を尋ねると、「2~5回」が42.5%がもっとも多く、「1回」が41.1%と続きました。

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職務質問を受けた時間帯については、「18~24時」が55.7%、「12~18時」が35.0%でした。深夜帯の「0~6時」が23.6%で、「6~12時」の13.6%を上回りました。

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職務質問を受けた場所は、「住宅街」が最多の45.7%、「繁華街」が22.1%となりました。「駅」(13.2%)や「公園」(10.0%)など不特定多数が行き交う場所で職務質問を受けることもあるようです。

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どのような場面で職務質問を受けたかについては、「自転車に乗っていた時」が42.5%ともっとも多く、「歩いていた時」の33.6%を上回りました。

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●職務質問受けても「何事もなく終わった」ケースがほとんど

職務質問でのやりとりについては、「質疑応答があった」が78.2%だったほか、「自転車、自動車、バイクの持ち主チェックをされた」が52.1%と続きました。「自転車に乗っていた時」に職務質問を受けたという回答が多かったこととの関連性がうかがえます。

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職務質問を受けた際にどのように対応したかという問いに対しては、「協力的に応じた」が70.4%にのぼりました。一方で、「拒否する意思を告げた」人も10.4%いました。

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対応の動機・理由について尋ねると、「やましいことがなかったから」が67.1%で最多でしたが、「協力しないとかえって面倒になると思ったから」が51.8%と消極的な理由を挙げた回答も目立ちました。

「犯行の真っ最中または直後だったから」と回答した人はいませんでした。

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職務質問を受けた後どうなったかについては、「何事もなく終わった」が93.9%でほとんどを占めました。そうでないケースとして、「アルコールチェックを受けた」(6.1%)、「薬物の簡易検査を受けた」(3.9%)、「警察署への同行を求められた」(1.8%)などの回答がありました。

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●賛否両論「素直に応じるべき」「任意といいつつも強制」「高圧的」

自由回答で、職務質問に対する意見や受けた際の状況などについて聞きました。

【職務質問に対する意見】

「犯罪防止には効果的」(20代男性)

「協力的に応じることで持ち物確認等は省略できるので最終的に時短になる。潔白であれば協力した方が良い」(30代男性)

「警察官は国民を守る為の職務をしているので、国民はやましいことが無ければ、素直に応じるべきである」(60代女性)

「職務質問は防犯上ある程度仕方ないとは思うが、相手の時間を拘束している自覚を持って欲しい」(50代女性)

「任意といいつつも強制なのが非常に日本的で気持ちが悪い」(30代男性)

「知り合いの外国人が見た目のイメージからよく受けると言っていた。国費留学生のエリートだが、警察官の抱くイメージとは異なるのだろう」(50代女性)

「警官の巡邏には肯定的な面があると思うが、一部であっても市民に高圧的な警察官がいると聞くと、犯罪の未然防止、取締りの目的に反する結果を招くのではないかと思う」(70代以上男性)

【職務質問をする警察官の態度】

「警察官の対応も丁寧だったこともあり、特に不快な思いはせずに済んだ」(50代男性)

「言葉使いこそ丁寧だが、応じることが国民の義務との態度が見て取れる」(60代男性)

「見た目が弱々しい人間に高圧的に対応し、風体の悪い人間には丁重に対応する印象」(50代男性)

「車を停止させられた際、とても嫌な感じだった」(70代以上女性)

「怪しまれるのは構わないが、素直に協力しても、感謝の言葉や謝罪の言葉も無いのは印象が悪かった」(40代男性)

「警察官は名前も所属部署も明示せず、こちらには名前や住所まで聞いてくるので頭にきた」(60代男性)

【職務質問時の応対】

「普通に挨拶された後、何してるか聞かれ、普通に待ち合わせでどこどこに行くと答えて終わりだった」(40代男性)

「深夜に、自転車の確認と手荷物検査、身分証明書の提示。特に問題なかった」(60代男性)

「なぜ職質をしたのか意図をはっきり教えてくれないと協力的な姿勢にはなれない」(30代女性)

「過去に7回、すべて特殊詐欺の一員と思われて職質を受けた。茶髪、ネックレスが目立った服装だったため、怪しい人に見られたようだ」(50代男性)

「財布を拾って届けたら、乗っていた自転車について『これ君の?』と聞かれた。財布届けた人が自転車盗むかと思い不快な気持ちになった」(50代男性)

「鳩に少量の餌をやっていただけの人間を犯罪者とみなしている態度が腹立たしい。鳩の餌やりがだめだと言うなら注意だけして立ち去るべきだ。身元調査、持ち物検査までやるのは横暴」(70代以上男性)

「職務質問をこれまで100回くらい受けた経験があるが、声を掛けられる理由は自分でもよく分からず不明。こちらから警官の対応に文句を言っても余計面倒なことになると思ったので我慢した」(40代男性)

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

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