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AIメイヤー氏、選挙ポスター費用めぐり国を提訴「公費負担にならないのは違憲」「資金力で選挙活動に差」
司法記者クラブで会見したAIメイヤー氏こと松田道人氏(右)(2024年7月26日、弁護士ドットコム撮影)

AIメイヤー氏、選挙ポスター費用めぐり国を提訴「公費負担にならないのは違憲」「資金力で選挙活動に差」

都知事選の候補者だった「AIメイヤー」こと松田道人氏は7月26日、東京・霞が関の司法記者クラブで会見し、別の選挙に立候補した際、選挙ポスターの作成費用について、公費負担が受けられなかったことは違憲だとして、国を相手取り賠償を求める裁判をおこなっていたことを明らかにした。

現在、選挙で候補者に経済的負担がかからないよう、また候補者間の選挙運動の機会均等を図ることを目的に、公選法に基づいた「選挙公営制度」が設けられている。これにより、選挙ポスターなどについては公費で負担するとされているが、得票が足りずに供託金が没収される候補者は自己負担となる。

東京地裁は同日、松田氏の訴えを退ける判決を下し、松田氏は即日控訴した。

会見で松田氏は「資金力によって、選挙活動に差が出てくることは大きな問題だと思っています」と語り、今後も争っていく姿勢を示した。

●判決文「資金に差が生じることは否めない」

判決文などによると、松田氏は2023年11月におこなわれた真鶴町長選に立候補した。その際に、所定の得票数に足りず、供託金を没収されるとともに、選挙ポスターの公費負担を受けられなかった。

松田氏はこれが、被選挙人の差別を禁じた憲法44条などに反すると主張し、この制度を廃止してこなかった国に責任があるとして、国会賠償法に基づき、ポスターの作成費用にあたる2万5850円を支払うよう求めていた。

これに対し、東京地裁(勝又来未子裁判官)は「確かに、選挙運動用ポスター公営制度の適用の有無によって選挙運動に支出することができる資金に差が生じることは否めない」と指摘しながらも、「本件制度は、真に当選を争う意志のない候補者に悪用され多額の国費を浪費することを避けるという合理的な目的を実現するため」のものであるとして、松田氏の訴えを棄却した。

●都知事選ではさらに「資金力の差」

今回、松田氏が起こした裁判は真鶴町長選についてだったが、7月におこなわれた都知事選では、さらに「資金力格差」が出たという。

「他の候補者が誰も貼っていない中、小池百合子知事だけが島嶼部の掲示板にも選挙ポスターを掲示していたことがXに投稿されて、拡散しました。これはとても大きな問題だと思っています。

50万票を得られなかった候補者は、供託金とともに選挙ポスターの費用も請求されることになります。今回は4位の田母神さん以下の候補者が負担しています。

都内には約1万4000カ所の掲示板がありますが、私は(供託金没収の)ラインを超えられないとある程度わかっていたので、2500枚しか刷りませんでした。掲示板に選挙ポスターがない候補者がいたのは、そういう理由からです」

松田氏はこう語り、選挙ポスターの「不平等」をあらためてうったえた。

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

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