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立ちションがバレて「勤務先を教えろ」管理人と攻防 応じる必要があるのか
画像はイメージです(Mitsu40 / PIXTA)

立ちションがバレて「勤務先を教えろ」管理人と攻防 応じる必要があるのか

「立ちションをしていたら、敷地の管理人に見つかり、勤めている会社等を紙に書かされそうになった。これに応じる必要はあるのでしょうか?」。このような相談が弁護士ドットコム編集部に寄せられました。

相談を寄せた男性(20代)によれば、その日、友人と2人で飲んだ帰り、友人が尿意を我慢できず、近くの茂みに「立ちション」してしまったそうです。その現場を、敷地の管理人に発見されました。

相談者によれば、友人は管理人の要請により、敷地の掃除をすることになり、それに応じます。すると管理人は、友人の勤めている会社にクレームを入れるとして、勤めている会社名と、名前を紙に書くように要請されたと言います。

掃除を要請することは良いとしても、会社名や名前について紙に書かせることまでは法的に問題ないのでしょうか。河野晃弁護士に聞きました。

●どのような法的問題がある?

——そもそも立ちションする行為に法的に問題はないのでしょうか?

まず立ちションで思い当たるのは軽犯罪法第1条第26号「街路又は公園その他公衆の集合する場所で、たんつばを吐き、又は大小便をし、若しくはこれをさせた者」という条文があります。

つい先日も、この罪により交番敷地内で立ちションをした人が現行犯逮捕されたというニュースを目にしました。刑罰は、『1日以上30日未満の身柄拘束』(刑法16条)または『1,000円以上1万円未満の金銭徴収』(刑法17条)と軽微ですが、有罪となると立派な前科者となります。

また、相談者は他人の敷地内に立ちションをする目的で侵入したことになりますから、刑法第130条住居等侵入罪に該当する可能性もあります。もしそうなれば刑事罰は『三年以下の懲役又は十万円以下の罰金』とそれなりに重くなります。

●損害賠償を求められる可能性は?

——他人の敷地に立ちションした場合、民事ではどのような責任を問われる可能性がありますか

民法第709条の不法行為に該当し、損害賠償請求を受けることになります。清掃費用や場所によっては何らかの営業を妨げた損害(たとえば駐車場)などが該当するでしょう。

——会社にクレームを入れる目的で、立ちションをした者に会社名や名前まで聞く権利はあるのでしょうか。

そのような権利を認める法律はありません。クレームを入れたくなる気持ちは分からなくはないですが、教える義務はないでしょう。

酔っ払って軽い気持ちでやってしまうのかもしれませんが、このように法的な責任を問われる可能性もあります。決して立ちションはしないでください。

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

プロフィール

河野 晃
河野 晃(こうの あきら)弁護士 水田・大江法律事務所
兵庫県弁護士会所属。2010年弁護士登録。民事事件(中小企業法務・交通事故等)、家事事件(離婚・相続)、刑事事件など、多種多彩な業務を行う。趣味はゴルフ、野球など。日本一話しやすい弁護士を目指す。

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