鳥取県の国立公園・大山(だいせん)で、大量の食パンや鶏肉が道路脇に連日投棄される事案が発生している。
報道によると、周辺ではクマの目撃情報もあり、餌付け目的ではないかとの指摘も出ているという。
現場周辺の公園などを管理する「自然公園財団」鳥取支部・大山事業地の平木尚一郎所長は、弁護士ドットコムニュースの取材に「国立公園の中なので、動物の餌やりや不法投棄はやめてほしい」と話した。
食べ物とはいえ、大量に道路脇へ捨てれば「不法投棄」として犯罪になる可能性がある。さらに、場所が国立公園であれば、別の法律に抵触することもある。
●食パンや鶏肉は「廃棄物」になり得る
廃棄物処理法16条は「何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない」と定めている。
ここでいう「廃棄物」には、ゴミや動物の死体、その他の汚物、不要物などが含まれる。
もともとは食べ物であっても、道路脇に放置されれば「廃棄物」にあたり得る。今回のような大量の食パンや鶏肉についても、廃棄物と判断される可能性がある。
違反した場合、5年以下の拘禁刑もしくは1000万円以下の罰金、またはその両方が科される可能性がある。
路上で見つかった鶏肉(提供:自然公園財団)
●少量でも「軽犯罪法違反」の可能性
捨てた量などによっては、軽犯罪法違反が問題になることも考えられる。
軽犯罪法1条27号は、「公共の利益に反してみだりにごみ、鳥獣の死体その他の汚物又は廃物を棄てた者」を、拘留または科料に処すると定めている。
鶏肉が捨てられていた道端(提供:自然公園財団)
●国立公園なら「餌付け」も問題に
さらに今回の現場は国立公園内にあるという。この点から、自然公園法に抵触する可能性もある。
自然公園法37条1項は、国立公園や国定公園の「特別地域」「海域公園地区」「集団施設地区」で、一定の行為を禁止している。次のようなものだ。
「当該国立公園又は国定公園の利用者に著しく不快の念を起こさせるような方法で、ごみその他の汚物又は廃物を捨て、又は放置すること」(37条1項1号) 「野生動物(鳥類又は哺乳類に属するものに限る。以下この号において同じ。)に餌を与えることその他の野生動物の生態に影響を及ぼす行為で政令で定めるものであつて、当該国立公園又は国定公園の利用に支障を及ぼすおそれのあるものを行うこと」(37条1項3号)
そのため、今回の現場が同法の対象区域にあたり、仮にクマなどの野生動物に食べさせるために食パンや鶏肉を道端に置いたのであれば、自然公園法上の規制対象となる可能性がある。
1号に違反したり、国や都道府県の職員の指示に従わず3号の行為をした場合、30万円の罰金が科される可能性がある。
路上に捨てられた食パン(提供:自然公園財団)
●「食べ物を置いただけ」では済まない可能性
道路脇に食べ物を捨てる行為は、廃棄物処理法や軽犯罪法に抵触する可能性がある。さらに国立公園内の一定の区域では、自然公園法の規制も問題になり得る。
とりわけ、野生生物への餌付けにつながれば、単なる「ゴミ捨て」にとどまらない。クマなどが人の食べ物を求めて道路や人里に近づくようになれば、人身被害の危険も生じる。
今回、誰がどのような目的で食パンや鶏肉を置いたのかは現時点では明らかになっていない。仮に「動物に食べさせるため」だったとして、安易な行動は慎む必要がある。